『ア・ゴースト・ストーリー』ゴーストも「イイね!」ができるとしたら?死後の世界にも希望が持てる
正直、途中何度か「ながいな」と思った。
無音や長回しの連続で、ある種の「苦行」のような状態に陥っていた。
しかし、この苦行っぽさこそが、ゴーストの状態そのものなんじゃないか?
と鑑賞後に思った。
たしかに、シーツかぶりゴーストが佇んでいる姿は、楽しそうに見えない。
そして、この苦行を耐えながらも、私が映画を観続けたのは、ゴーストがラストどうなるのか見届けたかったから。
ラスト、予想外に納得できる答えを示されて驚いてしまった。
その後、無音のエンドクレジットを眺めながらヒシヒシと感じるあの余韻……
四角い画面構成とか、ヘンな音楽とか、いろいろやってる感は否めない(あまり必要とも思わなかった)し、わざとやってる感すら感じる。
が、なんだか惹きつけられてしまう不思議な雰囲気。
鑑賞後、帰宅する電車の中でも、「ゴーストとは結局どんな存在なのか?」と、思いを巡らせてしまった。
時間を超える存在。愛情を超える存在。ただそこにいるわけでもない。
単純な執着に繋ぎ止められている。
死とは、存在していたものが存在しなくなるというだけの話なのか。
逆にそう考えた方が、安心できるかも。
人間は、死を恐れすぎなんだな。
「あー面白かった」と思える映画でも、「何度でも見たい!」とも思える映画ではないが、生活に何とも言えない影響を与えてくるかんじ。
嫌いではない。
アメリカ人のデヴィッド・ロウリー監督の死生観は、カトリック的でもなく、東洋的でもない。
監督独特の死生観は、映画の中に登場するよくしゃべる脇アセ男のセリフの中に隠されているのかも。
ゴーストが「イイね!」的に、電球をジジジっとやっててそう思った。
とはいえ、かんじの悪い男がとりとめもなくしゃべっていたシーンなので、詳しくは覚えていない。
かといってもう一度映画館で見る勇気はない。プチ苦行はなかなかツラい。
監督のインタビューがあったので、死生観についてはこちらを参考に。
浄化という考え方は、ゴーストだけじゃなく、生きてる人間にもあてはまるかなと思った。
過去を浄化して、次のステップへ。
来年の目標にしようかな。
原題 A Ghost Story
製作年 2017年
デビッド・ロウリー監督
製作国 アメリカ
配給 パルコ