峯丸ともか(ブルア)の映画&ドラマ手帳

映画レビュー&ドラマレビュー、執筆した記事などアップしていきます。

今年見た映画をレビューしていきたいのですが、全部は無理かも。とりあえず最新映画で気になったものを更新していきます。あとは、おいおいで!

デヴィッド・リンチ:アートライフ

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お題「最近見た映画」

2016年アメリカ ジョン・グエン、リック・バーンズ、オリヴィア・ネールガード=ホルム監督
 
人のアトリエを見るのが好きだ。
アトリエには、アーティストの頭の中が反映されていると思う。
デヴィッド・リンチのアトリエの映像があると知り、映画を観に行った。
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リンチのアトリエは、廃工場の倉庫のような広い空間で、とてつもなく殺風景な空間だった。
打ちっ放しのコンクリ壁に錆びた鉄の机。使い古したソファーに座りごこちの悪そうな椅子。
そして、まったく音がしない。
そんな無音の殺伐とした空間で創作する骸骨のオブジェ。さらには、内臓が飛び出たり、首がぶっ飛んだ人間を
モチーフにした作品。
不思議なことにどの作品も、グロテスクなのにどこか可愛らしさがある。
映画やドラマのみならず、アート作品にもリンチならではの二面性が現れている。
 
ツイン・ピークス」を見る限り、デヴィッド・リンチという人は、さぞかし荒れた少年時代を過ごして
鬱屈とした感情を育み、異質の感覚を持つ大人になっていったに違いないと思っていた。
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ところが、本映画で明かされる彼の少年時代は、いたって普通。
普通どころか、うらやましいほど幸せな家族に恵まれた子供時代は、古き良きアメリカの理想像そのもの。
まるでノーマン・ロックウェルのイラストのように爽やかじゃないか。
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では一体、リンチの映画やアートに現れる光と闇の二面性とはいったいどこから湧いて出てきたのだろう?
リンチは映画の中でこんなふうに語っている。
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「自分の中にあるものを表現しようとしたら、自分の過去でコーティングしなければならない。」
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幸せな子供時代の中にも、闇が差し込む瞬間がある。
リンチほどの鋭い感覚の持ち主なら、光の中に差し込む一瞬の闇こそが衝撃であり、
生涯忘れえぬ程のトラウマとなるのだと思う。
幸せであればあるほど、闇は怖くなるものだ。
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映画の中では、リンチが体験した少年時代のあるエピソードが語られている。
幸せな日常の中の一瞬の闇の衝撃。
それを目にした時、彼は明らかに闇に惹かれていた。
映画監督とかプロデューサーとかいう肩書はあっても、デヴィッド・リンチは、闇と光のはざまで作品を生み出すアーティストなんだと思う。
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この映画を観たものだけが、彼の創作意欲の根本を知ることができる。
クリエイティブなことをしたいと思っている人は、ぜひとも見るべき映画である。