『運命は踊る』を観て、踊らされて帰ってきました。
運命という言葉は、あまり好きではない。
世の中、運命によって操られているとは思えないし、思いたくはない。
だから、この『運命は踊る』という日本語版のタイトルを見たときに、
「これは、運命だ!ジャジャジャジャーン!(BGM第9)」
というかんじで、悲劇的に押し続けるオカタイ映画なのかなぁ?と思ってしまった。
そうなると、あまり興味は惹かれない。
「評判が良いけど、見に行くのどうしようか?」と悩んだ時に、出会ったのが
この予告編。
皮肉なことに、この予告編に「運命的出会い」のようなものを感じてしまった。
イスラエル。戦争。息子の戦死。
重苦しい雰囲気のストーリの中で、突如のラクダと兵士のダンス……
♪(BGMエルマンボ)💃「ウー♪」
っていうのは、どういうことなのか?
早速、映画を観に行った。
やられた……
タイトル通り、「運命」が「踊って」いる!
しかも、その踊り具合がとってもブラボー!
この映画には、ストーリーテラーがいない。
カメラの構図、インテリア、小道具、絵画、イラストやアニメ、音楽そして、
役者の演技など、さまざまな手法で物語が饒舌に進んでいく。
そして、衝撃のラスト。
あんなふうに終わるとは思わなかった
と、観客も踊らされる。
この監督、天才かも!
サミュエル・マオズ監督。
イスラエルという国の、歴史背景や紛争の経緯などは、
複雑で、取っつきにくい話題ではある。
高校の世界史の教科書に載っているくらいの情報では、まったく理解できない。
こんな私のような、のほほんとした日本人のために、現実としての紛争を映画で表現してくれている。
しかも、サスペンスであり、コメディでもあり、ヒューマンでもあり、エンターテイメントでもある。
「戦争は悲劇なんだぁ!」という押し付け感が一切ないのに、「戦争ヤバイ」と思わせる恐怖感も感じられる。
映画を見た後、思わずイスラエルについてググってしまった。
なるほど、イスラエルには、女子にも兵役がある……。
しかし、難しい。
アレクサンダー大王にまで遡るのか……
この辺は、某池上無双先生のTV特番を待つとして、とにかく地図を見た。
イスラエルの位置確認だけでもしておくと、映画の内容がさらに入って来やすい。
イスラエル建国の経緯を含めた高校までの世界史知識と、地図上の位置確認、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教についての微かな知識。
こんなもんでは、とうてい世界には出ていけないが、とりあえず中東を題材にした映画を観る際の大前提にはなるだろうか。
他の映画も観て、もっと理解を深めたいと思った。
まずは、サミュエル・マオズ監督の過去作「レバノン」(2009)から観ます。
2018年9月29日日本公開
原題「FOXTROT」サミュエル・マオズ監督
フランス、ドイツ、イスラエル